次にタービン発電機に関連した解析のモデル構築でした。この頃には、EMTPだけでなくほかの解析ソフト(当時はSiemens社のNETOMC、言語がドイツ語でほんと大変でした)も使い始めました。同時にタービン発電機関連の解析を深めるため国内外の専門書や論文を必死に読み始めました。そこでいきなり気づいた事は、かなり専門的に奥が深いぞ、マジに高度な専門技術を必要とすると感じたからです。
ここは冷静に、どこから手を付ければ最も効率的に専門技術が深まるかと考え、まずタービン発電機モデルに対して、タービン側は機械系モデルでありGOV制御周辺とタービン構造の習得、発電機側は電気系モデルであり発電機と励磁制御周辺の習得と考え学習しました。ただし、タービン発電機モデルはあくまで単体であり、系統解析の花形であるタービン発電機モデルを利用した電力系統過渡安定度解析が理解できてこそ、技術的に理解したと感じました。
この過渡安定度解析は、電力系統とタービン発電機の組み合わせたモデルで系統事故に伴う安定性、よく言われる一機から多機までの無限大母線系統に繋がる過渡安定度を理解することです。特に発電機モデルは、ダイナミックな簡略から詳細までの非線形・線形の連立微分方程式(Park’sモデル)、励磁制御やGOV制御のブロック図を用いる場合は制御工学の知識が必要である。更に、タービン発電機モデルにおいて短絡事故の場合は、瞬時的な短絡トルクによる軸ねじれトルク現象においても軸強度評価などで知識が必要とされる。
ここでは専門的な理論や手法については触れないが、解析ソフトを使ってたくさん経験を積めば、タービン発電機モデルの電気的と機械的である複雑なメカニズムな過渡現象を理解できると信じている。
最後に、タービン発電機モデルと誘導電動機モデルの習得を実は同時に学習し始めるために電気機器関連の専門書を最初に読み始めたが、全然頭に入らなかったことを覚えている。しかし、同期機・非同期機の違いを明確に知ることで、発電と負荷との電力バランスを深めることができた。
当時は、過渡安定度解析を専門的に理解するきっかけとして、やはり関根先生の「電力系統過渡解析理論」を学習することであった。タービン発電機モデルなどの構築を通して、系統解析の全般を学べるようになったと思います。
これまでに、 第1章 系統解析を始めた頃、第2章 雷サージ計算、第3章 変圧器励磁突入電流計算、第4章 タービン発電機モデル絡めた計算、について説明しました。
次号は、第5章 系統解析は奥が深い、について説明します。
(壹岐 浩 幸 記)